アナウンサーブログ
 上野雅美

九谷焼とJAZZと

夜の深い時間だったと思います
ジャズピアニスト・小曽根真さんのドキュメンタリーを見ました
2000年か2001年、そのくらいだったと思います
当時、わたしは10代の何でもないただの高校生で、徳島の本屋もコンビニもない田舎町のすみっこで、誰もいないリビングのテレビから流れる映像に釘付けになりました
高校生が小曽根さんにジャズを教えてもらい成長していく様子が丁寧に描かれていました
小曽根真さんと高校生の交流、ジャズに魅了されていく同年代のきらきらとした表情
映像と音の力を存分に感じるドキュメンタリーで、一言で言うならば「感動しました」

録画技術も今ほど豊かではなく、もう一度見たい、再放送はありますか、とテレビ局にメールしたのを覚えています
昔も今もわたしが人生で見たドキュメンタリーで一番心に響いた作品です
制作に携わったすべてのスタッフの皆さんの技術の高さはもちろんあると思いますし、きっと描かれている彼女たちと私の年代が近かったこともあると思います

「見る人の心に残る番組を制作する」言葉で言ってしまえば単純なことですが、それを身をもって知りました

 

 

沢山の時を経て、私は今、伝える側となりました

 

最近は、色々伝えることについてを多く考えるようになりました
伝える内容や、伝える意味、伝える方法、
テレビをとりまく環境は大きく変わり、自分自身の変化も沢山ありました

 

高知でこの仕事をスタートさせた当時、本当に数えきれないほどの大切なことを教えてもらいました
たった3年の短い時間でしたが濃い3年間で、仕事に向き合うわたしの基礎をつくってくれました
すでにもう10年以上前のことになっていますが、今でも編集作業のときに思い起こされるのは当時の先輩ディレクターの言葉であり、

ニュース原稿を読む際に心の中にリフレインするのは、尊敬してやまない当時の先輩キャスターや大先輩のアナウンサーの言葉です
その経験と日々の上に、今伝える立場として何ができるかと自問自答の日々です

 

今回、九谷焼・赤絵の絵付師、福島武山さんのドキュメンタリーを制作させていただけることになりました
2015年に続き、2回目のドキュメンタリーです
取材を受けてくださった福島武山さん、福島礼子さんはじめ、多くの皆さんに感謝しています

 

何が伝えられるか
たとえ1カットでも、1人でも多くの人の心に残る映像を届けられればと、今編集しています

赤絵礼讃 九谷焼 絵付師は語る

2022年1月2日 正午放送

https://www.hab.co.jp/program/program-895/